風に舞いあがるビニールシート ~森絵都

全6篇からなる短編集です。
以下記憶に残った短編を。



・「器を探して」
 天才パティシエのヒロミのアシスタントを勤める弥生。
ヒロミの要望を叶えるべく、日々奔走している。元々は、自分がパティシエになりたかったのだが、ヒロミに出会い、彼女の才能に魅せられて今に至る。

 始めは、女同士のちょっと複雑な感情が描かれ、才能あるヒロミと挫折し一方的に使われる弥生の関係に、息苦しく思っていましたが、意外なラストに少し眼を見張りました。



・「犬の散歩」
 恵利子は夜の仕事を始めた。夫も承知している。どうしてそうなったのかは、読み進めるうちに明らかになるのですが、予想外の理由でした。
 犬の里親探しのボランティアをしているため、里親が見つかるまで犬の世話をしなければならず、そのドッグフ-ド代などのためだった。結婚後6年経ったが、子どもに恵まれなかった恵利子だったが・・・
 
 悲惨な物語でなくて、ほっとしながら読みました。牛丼好きな人が、物の金額の価値を牛丼何杯分かと、なんでも牛丼に換算する・・という部分、何だか共感できました。人はみな、自分の物差しを持っていますよね。私の場合は、食料代かな。我が家の生活費を大きく占めているので。



・「風に舞い上がるビニールシート」
 里佳は国連難民高等弁務官事務所に勤める国連職員。彼女は勤めるきっかけとなったのは、離婚した夫のエドに採用されたためだった。離婚後も仕事を続けていた里佳だったが、元夫のエドの訃報を聞き、ショックで何も手に付かなくなる。里佳が立ち直るまでの話。

 エドは以前、里佳にこの仕事を選んだ理由を「風で飛ばされるビニールシートを飛ばないよう押さえるためだ」と言っていたが、わかりやすい比喩だと。誰かが行動を起こさないと、取り返しが着かなくなるんですね。このお話で、国連職員の勤務の過酷な部分を初めて知ったように思います。
 NHKでドラマ化されていました。
 

この本で直木賞受賞なさったとか。この方の大人向けの本は、初めてでした。
読みやすく、読後感も悪くありませんでした。
他の本にも挑戦しようかなと、思えましたね。

が、一押しは、やはり「DIVE(ダイブ)!!」ですね。
子どもはもちろん、大人も楽しめるお話です。










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